世にはうつにまつわる様々な情報があります。
「高学歴はうつになりやすい説」
「ニートはうつが多い説」
「うつは治らない説」
「うつ、再発率高い説」
「家庭環境がうつの原因説」
…
などなどキリがありません。
理論的にどれが正しいとかはいえませんが、実体験からいえることがあります。
ブログタイトルの通り、当ブログの運営者は高学歴でうつになった者です。当事者として、本稿では「高学歴でうつになると考える事」をできるだけご紹介します。
目次
何が正しいのかわからない
よく覚えているのは、ベッドで横になりながら、何がなんだかわからなくなったことです。
19才の5月頃にある出来事でうつになったのですが、その日すぐにではなく、1年ほど経ってから、何をすべきかがさっぱりわからないという思考になった記憶があります。
大学に在籍していて、とりあえず勉強していましたが、何のためになるのかわからない。
なんとなく信じていた、正しい人生というものがごっそりなくなった感覚です。
たとえばそれは、いわゆる学歴社会であったり、大企業優位思想だったり。昔で言えば、3K(高学歴、高身長、高収入)がよいというような話。
当時でいうと、ベンチャーかっこいい話もそうですね。
それらすべて、何でなのか。意味あるのか。みたいなことを考えていました。
社会に対する”そもそも論”みたいな思考が増えた気がします。見方を変えると、自分が無自覚に信じていたものが信じられなくなった状態ともいえると考えています。
また、虚無感に陥ってニヒリズムというやつをすごく体感した時期でした。
すべて失った感覚
当時、うつになったら人生終わりだと信じ切っていました。理由も特にないのに、なんとなく「うつ=人生終了」の構図が頭にありました。
小学生の頃から勉強が得意で、だいたい100点。中学では短期間の受験勉強で都内私立進学校へ。大学にも現役入学。
学歴社会的にいえば、ちゃんと勝ち組だったのに。
普通にしていれば、それで大企業とか入って、エリート人生。お金持ち、みたいな根拠もない幻想だか希望だかわからないような未来像も全部打ち砕かれ。
すべて無になった。そんな感覚です。
もう頑張ることはできない、頑張る理由もわからない、ただただ辛い人生。
耐えるだけの人生。はやく終わりにしたい。
という思考です。
積み上げてきた過去をすべてぶっ壊した感覚で、将来に不安しかありませんでした。
圧倒的な社会不適合者の自覚
21才になると、大学3,4年ですので、就職活動を軽い気持ちで始めました。セミナーいったり合同説明会いったり、エントリーシートだしてみたり、面接いってみたり。
その間は充実することもありました。
しかし、急にドカンとうつ期がくると、またもやすべてが無になります。
起きられなくて外資系IT企業の面接をサボったことも。
こんな状態じゃ就職なんてできるわけないし、40年以上も働き続けるのは本当に無理だと何度も何度も悩みました。
社会不適合者。人間の失敗作。
これらは最近まで思っていた私を表現するキーワードですが、今おもえば、なんでこう考えていたのかよくわかります。
当時は本当に失敗作だと思っていました。失敗の裏に成功があるのですが、この場合の成功とは一体なんでしょう。
このことを理解していませんでした。成功ってなんなのでしょう。ただなんとなく人より優ることを目指すという、中身のない人生観だったので、周りをみては自己嫌悪に陥るということが多かったです。
では、そもそもなんで「中身のない人生観」になったかといえば、諸説ありますし、ここはまたの機会に。
価値とは何なのか
ここまで述べてきた内容を総じてみると、「自分は無価値である」という観念に覆われていることがわかります。
やはり、そんなことは嫌なので、「そうか自分に生きる価値はないのか」で終わらず、「価値ってなんなのだろう」という定義を改める思考に入っていました。
このとき、差異こそ価値であるという真理に到達したのを覚えています。
たとえば、「グローバル化社会における日本固有の価値、強みはコンテンツなんじゃないか」という仮説を持っていました。
そして、その後しばらくしてクールジャパンというキャンペーンが始まりました。何か正解した気持ちでちょっとうれしかったことを覚えています。
他者に対する憎しみ・怒り
夜、眠れない日々がありました。目を閉じると憎しみと怒りの感情で興奮してしまう状況でした。
「あいつさえいなければうつにならなかった」
「家庭の事情にアレがなければ攻撃されていないはずだった」
「後輩の偉そうな態度、むかつく」
「この世の中はクソだ」
大変でした。
ただ、一方でこの感情を客観視することで、落ち着きを得るというスキルを得ることになりました。
「この感情は何で湧いているのか。今後の対策はどうすればいいのか」自然と考察を始めたのですが、そうすると落ち着いてきます。分析脳と感情脳のバランスを体感したときでした。
たまにニュースで通り魔事件がありますが、その犯人の思考回路が理解できます。ちゃんとやってきたのに。がんばってきたのに。結果があったのに。自分は悪くないのに。
心の底からそう思っている時期でした。その延長上には漠然とした社会への敵意があり、場合によっては行動に移してしまうんだと考察しています。
頭が悪いと思われる可能性にビクビク
勉強でも研究でも就活でも、優秀でないと思われること、頭が悪いと思われることがこわくて仕方ありませんでした。
それが逆効果で、人と意見が違うときや、「なぜ?」を聞かれたときにはパニック。頭が真っ白という状態です。
そして余計、何も喋れなくなり、立場を失う。そしてうつは加速。スパイラルに陥ります。
ただ、この思考はうつじゃない人でもなりがちではないでしょうか。高学歴だったり一流企業といわれる大手企業に勤めている人には、この優秀思想にすごく囚われてるように思います。
つまり、優秀思想はうつ候補者の温床になるのだと私は考えています。いま、会話をしている中で、「この人、公私ともに優劣ばかり気にしてる」と思った瞬間、残念な気持ちと心配な気持ちになります。
日本の教育が生み出した思想であり、それを信じて止まないこの人は、きっと自分や周囲を苦しめ続けるのだろうな…と。
まとめ
本稿では、高学歴うつニート経験者として、当時の実体験を振返り、どのような考え方をしていたかを表現いたしました。
共感された方、わかりにくかったという方もいらっしゃるとは思いますが、地道に発信して参ります。
ご意見、ご協力、お問い合わせ、歓迎しております。
推奨書籍
うつに悩んでいる方は、こちらの本がおすすめです。本当に人生終わりだと思いこんでいた私も、どうにかなっていますし、どうにかなっている人は少なくないはずです。そのことを伝えたいです。